モカ2種の入荷

エチオピア、イエメンの珈琲豆が一部新しく入れ替わりました。

1) エチオピア ハラールモカ(新)
綺麗なモカ香、上質な苦味と甘みの余韻
1cup(20g) \650 / 珈琲豆100g \820

これまで取り扱っていたハラールモカより高品質のものを入手することが出来ました。

一般的に日本に輸入されているハラールと異なり、特定農協より直接輸出されたトレース可能な云わばスペシャルティグレードです。
これまでエチオピアのコーヒー市場において、流通システム上の問題となっていたエチオピア商品取引所(ECX)の規制が昨年緩和されたことにより、実現しました。

ハラールは従来、欠点豆の混入が多く(欠点豆の割合で格付ける同国の品質規格ではグレード4と低い←この等級は珈琲の香味や美味しさの優劣を測る目安ではない)、それを補うために丹念なハンドピックを複数回行い、また焙煎にも細心の注意を払ってまいりました。
そんな他の豆より遥かに時間と手間のかかるハラールモカに、それでも当店が拘るのは、エチオピアの他の地域とは異なる、ハラール特有の甘く複雑なモカフレーバーが得難く、手間隙をかけた上で深く焙煎することで発揮される、独特の魅力をお伝えしたいが為です。

しかし今回の新しい豆は生産地域と精製時期がより明確な為か、従来品のような未成熟豆や乾燥度合い等のバラツキが格段に少なく、エチオピアではハラールだけに産出すると言われる、高品質なゴールデンビーンズも多く含まれています。

試飲したところ、従来品に感じられた力強い野性味が少し洗練され円くなり、ハラール特有の酸の甘みが綺麗に出て、より品位が高まった印象です。

伝統的なハラールらしいモカ香と、スペシャルティに引けを取らない本来の品質を併せ持つ、グレードアップした当店のエチオピア珈琲をどうぞお楽しみください。


2)イエメン イスマイリ・モカ
1cup(20g) \700 / 珈琲豆100g \1100
スパイシーで重奏的な甘み、なめらかなコク

好評を博したハイミ・モカが終了し、今後はバニーマタル(マタリ)・モカと共に
新たにイスマイリ・モカを加え、イエメンの2大銘品を提供してまいります。

イスマイリは標高2,200メートルのバニー・イスマイル山の雲に覆われる山頂付近、山岳の高地に多いイエメンの産地の中でも一際標高が高く、車も立ち入れない雲上の山の斜面にて、化学肥料や農薬を使わない伝統的な農法で少量栽培されています。
大変希少でありながらイエメン市場で最も高く評価され、高額で取引される珈琲豆です。

(森光宗男マスターの撮影、著書「モカに始まり」より拝借
http://d.hatena.ne.jp/seiso-coffee/20180627

その印象はバニーマタル、ハイミ、モカマタリNo.9等、これまで取り扱ってきた他のどの銘柄とも全く異なり、驚きます。

温かい時は、スパイスをまとった苦味と繊細な甘み、クリアな余韻がある一方、バターのようななめらかなコクも感じられます。
冷めてくると複数の甘みが顔を出し、多彩に変化しながらも決して華やかに突出せず調和を保つ上品なバランスです。
一見相反する様々な特性が、絶妙に重なりあいながら渾然一体となり、それが一杯の珈琲としての完成度と品位を高めているという、不思議な印象を持ちました。

これは例えば地理的に近い、明るく華やかな香味と、ふくよかなボディを持つバニーマタル産モカなどとは全く異なるタイプの個性で、古くからイエメンの珈琲を育む多様な風土と土壌の豊かさ、奥深さをあらためて感じずにはいられません。

現代の珈琲業界のトレンドや、最先端の情報を追い求めるニーズとは合致せず、当店の中でも少々マニアックな部類の商品ですが、品質は折り紙付きです。
一人でも多くの珈琲好きの方に、ご贔屓にしていただけたら嬉しく思います。